大判例

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広島高等裁判所松江支部 昭和28年(う)9号 判決

(一)被告人名義の控訴趣意書中書証の証拠能力を争う主張について。

所論は要するに或は被告人の司法警察員又は検察官に対する供述調書は誘導尋問又は脅迫によるものであると主張し或は被告人の警察又は検察庁における自白は任意にされたものでなく虚偽の自白なりと主張するもののようであるが所論にかんがみ被告人の司法警察員又は検察官に対する各供述調書を検討するにその体裁形式記載内容等に照し被告人の右主張は容易に採用するを得ないのみならず本件訴訟記録全部によるも被告人の右主張を裏づける何等の証拠をも発見するを得ない。されば右書証の証拠能力を全面的に否定せんとする被告人の右主張は到底これを容れる余地は存しない。然しながら右各供述調書中被告人が本件犯行の前日既に小松明を殺害せんと決意するに至つたとの部分しかもその殺害の動機は同人に対する木材の引渡債務を免れんがためであつたとの部分本件殺害により被告人は同人に対する木材引渡の債務を免れたとの部分については当裁判所においてなした実地検証の結果各証人尋問の結果等に照し容易に措信し難いところであつて結局右各供述部分は信憑力なしとして排斥せざるを得ないけれどもこれはあく迄供述の一部に対する信憑力の問題であつて書証の証拠能力自体を否定するものではない。

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